真言宗智山派高橋山放光寺
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 木造愛染明王坐像
重要文化財
     
     
 
愛染明王は愛欲をはじめすべての欲望にとらわれ染まる衆生を浄化解脱させる明王である。放光寺所蔵の愛染明王は、檜材の寄木造で像高89.1センチの彩色像であるが、ほとんど剥落している。焔髪に獅子冠をつけ三眼瞋目の彫眼で、口を開いている。条帛をかけ、裳をつけ、右前に結跏趺坐する。左手は屈臂し腹にあて五鈷鈴をとり、右手は屈臂し胸に当て五鈷をとる。左脇第一手は屈臂し胸にあて矢をとる。左第二手屈臂と右第二手屈臂は蓮をとる姿で、三眼六臂の姿である。本像は弓と矢をつがえた天弓愛染明王像の姿に表されているが、全国に京都神童寺、高野山金剛峯寺と当寺の三躰が天弓愛染として重文に指定されている。

本像の構造は、左右二材を矧ぎ、内刳りし別材の背板をはめる。肩臂で矧ぐ。両脚部一材。両膝奥に各一材を矧ぎ付ける。持物、瓔珞、裳先、光背、台座は後補である。総じて彫りは浅く、錐の如く輝く目も鎌倉期にみる忿怒相とは違い激しくはない。肉付も清楚穏健、小さな獅子冠も流麗で静謐の中に畏怖を感じられる点は、大日如来像とほぼ同時期、12世紀後半における円派の造像の特徴をよく伝えている。特に六臂のうち二臂で弓矢をつがえるという複雑な造形を全体からみて破綻なくまとめているところは、大日如来と同様京都の工房で、かなり熟練した仏師の制作と思われる。天弓愛染明王では日本最古の仏像である。(塩山市史)